安乗寺山門(北山町)

朝谷山安乗寺は、北山町にある真宗大谷派の寺院である。

慶長年間(1596~1615)に親鸞上人の高弟、性信房が開基した坂東報恩寺の掛所として(東員町)中上とともに北山に置かれた道場が始まりで、以来一貫代の如来像を安置して尊んできたが、貞享3年(1686)了意の時に、東本願寺から安乗寺の寺号と木造阿弥陀如来を下付されて現在に至っている。

山門は三門とも書き、もとは空、無相、無作の三解脱に入る門を意味する禅宗寺院の正門のことで、次第に他の宗派にも用いられてきたものである。

安乗寺の山門は、四脚門の形式で、軒は二軒繁垂木、現在は桟瓦葺だが、もとは檜皮葺であったと思われる。

主柱は円柱、控柱は粽付の面取角柱で、柱は全て礎盤の上に建っている。主柱は棟木近くまでのびていて粽付の柱を桁行方向に頭貫と台輪で固め、上は左右に拳鼻のついた三斗組実肘木付を配して化粧棟木を受け、また、控柱の上組物も三斗組実肘木付で頭貫は先端を木鼻につくり虹梁形の錫杖彫を付け、梁行方向のもは飛貫・腰貫とともに主柱とつないでいる。頭貫先端木鼻などの木も太く、繰形絵様の顰のない鎬は古い様式のものといわれている。

寺伝によればこの山門は、桑名市矢田の走井山勧学寺から移したものといわれ、その建立の時期は明らかではないが、『四日市市史・第4巻』にも、安乗寺の山門については、元禄4年(1691)に建立されたといわれる垂坂山観音寺の山門よりも、その建てられた時期が「降ることは少なくともないとみられ」、その様式も「当寺のものの方が古式である」と記されてあり、四日市市内の山門では最古の建造物とされている。

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